浸潤性乳管癌と診断されて 17

「癌は誰でもなるもの!でも、まさか自分がなるとは思わないのが癌!」
窓際の私のベットの向かいの患者さんは抗がん剤治療で腫瘍を小さくしてから手術になるそうで、すでに3回ほど受けて髪の毛もだいぶ抜けてしまっているとの事でした。
頭にはスカーフを巻かれていました。
気が付いたのは去年の9月で寝る時に胸の痛みを感じて気づかれたと話してくれました。
身内にも癌患者さんはいなく、知り合いにも話してないから情報がなくて、娘さんはお子さんが小さく、息子さんはあまり、、、と言葉を濁されました。
「周りの人にも病名は隠してきたけど、この髪の毛じゃぁ、もぅ隠せない。。。なんで、私が癌になってしまったんだろうか」
と悔やむ毎日を過ごしていると
前向きになろうとするがなれずに毎日
「なんで、なんで、、、」を繰り返してしまっていると話されました。
「私の周りは私の病気を知ってます。私隠してないので、、、」と話すと
「会社は?」
「直ぐに話しました。検査で休みがちになるので、今は去年の仕事納めの後から休職してます。手術した後は放射線治療が毎日だから仕事も行けなくなるとわかっているので、
10月末に自分で見つけたんですが、手術を迎える迄の長い検査期間も今となっては心構えも出来て、ちゃんと受け止められる自分が今はいるので返って良かったかなぁと…」
「私はダメだわ。今でも、なんで私がを繰り返しているし、どーしてもダメなの。何かこの先に参考になる事はあるかしら?」
「たまたま今住んでいる裏のお宅2件が乳癌の方がいて、その方達2人ともここの病院で手術したと聞きました。案外、周りに乳癌の方けっこういらして、私の姉がとか知り合いがとか、、、」
「あらっ、その方おいくつ?」
「1人は、私と変わらないので51歳です。」
「えっ?あなた若く見えるのね!あっ、でも私の方がずっと年上だけど、、、」
「手術とか今後の治療で何かこれは!ってある?」
「いやぁ、私も明日手術でまだ未知の世界になるので、、、」
そんな会話がしばらく続いた。
正直少し、何が本当に聞きたいのかわからなかった。
周りから聞いた話をし始めても途中でご自分の話をされ始めるので、
たぶん、同病者と話したかったのかなぁとも
慰め合う事をしたかったのかなぁとも。
「ごめんなさい。あなたも明日手術で不安もあるでしょうに気持ち荒げる事になってしまったら悪いわよね。ありがとう」
と言われて自分のベットに戻って行かれました。

向かいの患者さんとの会話のあと、私は皆んなに公開して良かったと思いました。
事前にいろいろ教えてもらえた事も、隠さなきゃと必死になる事も無かった。
でも、それぞれの性格も環境もあるだろうから一概には言えないかもしれないけど。
手術前の最後の晩餐まで大好きな安室ちゃんのDVDを見て過ごしました。
18時に夕飯は普通食が出ました。
ん!!これだけ?
と思いましたが、普段夕飯は晩酌だけで白いご飯を食べない派の私は白飯でちゃんと誤魔化されて満腹でした。笑
夕食後は、翌日手術の為、21時過ぎたら水とお茶以外は口にしてはいけない事と19時から翌日の10時までに OS1 を少しずつ飲んで2本飲みきることを言われました。
「もし飲みきれなかったら点滴になるので頑張って飲んで下さいね」
と看護師さんから言われ、飲んだ量を記入する用紙が渡されました。
その日のうちに1本飲み干し、翌日に1本無事に飲み干しました。
ちょこ飲みがちょっと面倒でしたが!
次の日の朝、向かいの患者さんは退院。
抗がん剤治療の1日入院でした。
看護師さんに髪の毛が無くなってしまってカツラを買ったけど、病院の紹介があるなら早く教えて欲しかったと言われているのが聞こえて来ました。
退院の支度が終わった様子が伝わり、部屋を出る様でしたので、私はカーテンを少し開けて
「お大事にされて下さい」
と声をかけました。
「ありがとう、あなたもお大事に、頑張ってね」
ご主人と帰って行かれました。

「病は気から」確かに。
「たとえ身に病があっても、心まで病すまい。」
「運命を拓く」で中村天風さんもおっしゃってました。
この方が少しでも前向きな気持ちになれる事を祈りたい。
確かに癌は100%転移無いとは言えない。
私より病気が進行している方ではあるが毎日暗く落ち込む姿を見る家族も辛いだろうし
マイナスが更にマイナスになってしまう。
もし、決まった余命しかなかったら、せめて、めいいっぱい、可能な限り、できる限り楽しんだ方がきっと目を閉じる時に少しは後悔が減るような気がする。
とは言え、私も今は言えるだけなのかもしれないが、、、。
故に手術前までできる限り皆んなに会ったとも思う。
区切りつけるために。
そして、ここからまた出発出来るように。


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≪魂のトラウマ解放ナビゲーター≫ の一野瀬陽月です✨ がんと闘いを経て生きる事の凄さと 素晴らしさを皆様にお届けしています。 丹沢山麗の地から 普段の生活を盛り込んでアーカイブしています。